今日はニュースらしいニュースが無い。
定期的にコラムを書かせていただいている、PDAコンソーシャムに第4回目のコラムを書いたので、一つ前のコラムを転載させていただく。
PDA市場の2004年 第1四半期は、再び減少に転じた。前年比11%ダウン、03年 第3四半期と比べるとなんと33%ダウンというから、これまでになく深刻な状態だ。3万円以下のエントリーモデルと、それ以上のハイエンドモデルによって売上はかなりばらついているようであるが、PDA本来の機能である、PIM(個人情報管理)やメール機能にそれほどの改善が無く、基本的な使い方において、エントリーモデルとハイエンドモデルに差が無いところから、ハイエンドモデルはかなり苦戦しているらしい。米国市場を見れば、最大手のPalmOneを初めとして、ハイエンドモデルの必須条件は通信・通話機能(はっきり言えば携帯電話機能)を備えていることだ。しかしながら、日本においては法制上の問題があり、PDAに電話機能を具備したモデルは今のところ無く、その結果エントリーモデルとハイエンドモデルを分けるのは、高解像度液晶や、高画素カメラ機能といった機能の搭載の有無によることが多い。
僕が思うに、PDA販売不振の根源的な理由は、”カバン内シェア”の争奪戦にPDAが劣勢となっていることにある。顧客一人一人が消費できるお金には限りがあり、例えばコミック雑誌が売れなくなった理由は実は若者が携帯電話にお金をかけすぎて、漫画を買う余裕がなくなったためだと言われる。これと同様に、通勤通学で持ち歩くカバンの中には必ず持ち歩かねばならないグッズが多くあり、普通の人はカバンの中に入れられるモノを選別していなければならない。”オタク”的な人はいざ知らず、財布、定期、ケータイ、エトセトラエトセトラというプライオリティの中で、PDAはなかなか高順位になりづらい。PDAの”カバン内シェアは今や雀の涙ほどに落ち込んでいる、という論理だ。
米国の場合は、車での移動が多く、カバンも大きなものを持ち得るから、そもそもカバン内シェアのパイが大きい。しかも、PDAに電話機能があるから、ケータイを持つか、PDAを持つかの択一が許される。ケータイというトップ3の常連?からその地位を奪える、というわけだ。
日本のPDAはケータイとは対抗する術が無い。日本のハイエンドPDAのライバルはデジカメだったり、音楽プレーヤーだったりする。ところがデジカメならケータイがメガピクセルになり、PDAのそれではとても対抗できなくなった。GPSもケータイにある。音楽プレーヤーとしてはiPodにとても太刀打ちできない。単なるスケジュール管理だけなら手帳や数年前のローエンドのPalmで十分、というわけだ。だから買い替えない。
日本のPDAメーカーがこれ以上コンスーマ市場に活路を求めるなら、カバン内シェアを高めるための思い切った施策を講じなければならない。そうでなければ…僕が再三主張しているように、一刻も早く法人需要を喚起するPDAを開発する必要があるだろう。
PDAに関しては、ネガティブなことばかり聞こえてきている。紙の手帳を凌駕し、ノートPCとの間をきっちり埋めてくれる良い製品は出てこないのだろうか? 僕は実はハードウェアのプロダクトデザインに非常に興味がある。誰か僕にディレクションさせてくださいませんか?
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